英国に古くから伝わる人気ゲーム「ポロ」は、馬に跨ってスティックで玉を取り合い、相手ゴールを目指します。王族や貴族階級のスポーツとしても親しまれ、その優美な出で立ちは、メンズファッション界でも広く着こなしのモチーフに用いられています。
ポロゲームをする選手のシャツ襟がはためくのを見たヘンリー・ブルックスが、その襟先に小さな釦を付ける事を考案し、後にブルックス・ブラザース社の象徴的なアイテムとなった「ポロカラー」あるいは「ポロカラーシャツ」が生まれたのは有名なお話です。
いわゆるボタンダウンシャツの原型ですね。
一方ラルフローレンや、それ以前のラコステ、ゴールドウィンなどの流行でファッション界を席巻した、アイテム名で云う「ポロシャツ」は、カノコ編みと呼ばれるメッシュ状のニット素材が用いられました。
襟にはコットン素材のジャージを縫いつけ、半袖の口には同じくジャージの縁取りがあって、ちょうちん袖と呼んでいました。スポーツをするときの汗止めになるとか、まことしやかにポロゲームのユニフォームのように云われています。
はて、どこでどう行き違ったのやら。
ポロゲームから発展した布帛(ふはく)のシャツはボタンダウンシャツとなって、いまも愛されています。巷でポロシャツと呼ばれるカノコ編みのニットシャツは、あたかもポロゲームに用いられる服のように思われているのですね。ふむ。
では、本来のポロゲーム用に着用したシャツは、どんな形なのでしょうか。
いろいろな種類があるのですが、多くはチームの色による旗のようなデザインが採用されています。シャツを前や後ろから見たとき、十字状の色分けがあったり、市松模様のようになったり、そういうチームカラーに見えるよう仕立てられているわけです。
生地は、さほど厚くないコットンツイル。襟も共生地で付けられています。もちろん襟先に釦はありません。
というワケで、ポロシャツとポロゲーム用シャツのお話でした。