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梅春のラムウール
 アパレル業界には梅春(うめはる)という分類がある。晩冬から早春にわたる短い期間をさすもので、梅が咲く春先をもって文字の如し。

 業界では冬物バーゲンも一息ついて、新たに商業的な話題をつくりたくなる時期であるが、一方で人々は、長く寒かった冬に別れを告げ、少しずつ暖かくなる日差しに何かの期待感をもって過ごす頃にちがいない。

 梅春の季節は、しかしまだ寒い。冬型の気圧配置が列島を覆い、中国地方でも降雪がみられるなど、予断が許されないことも確かだ。ファッションを先取りする楽しみはあるものの、うっかり薄着で出かけると、日暮れには震え上がってしまうのだねえ。

 長らく黒ずくめだったメンズファッションに、近頃ではカラフルな色合いが戻り、これが梅春を楽しむに格好のアイテムとなる。ダークな色合いで冬を着こなした後は、軽くて明るい色をしたラムウールのニットが良い。生後六ヶ月の子羊から紡いだ糸を特にラムウールと呼ぶ。軽くて軟らかい羊毛はとても暖かく、微妙な色合いに染めることができるので、古くから親しまれている毛糸である。

 コートやジャケットの中にチラリと見えるパステルカラーは、あたかも木枯らし色の風景に咲く梅や桜の花弁のようではないか。ファッションとはライフスタイルをさすもの。いにしえより人々は、暮らしの中に着こなしのアイディアを見いだしてきた。
| 洋服屋の洒落日記 | 12:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
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